説明書の多言語翻訳|テクニカルライティング

技術翻訳 エクセレット株式会社

翻訳発注前にやるべきこと:マニュアルの曖昧表現を減らし、用語を確定する相談サポート

マニュアル翻訳は、誤訳だけが問題ではありません。
原文が曖昧なままだと、翻訳しても人によって解釈が割れ、差し戻しや手戻り、現場での誤解につながります。
そこで当社では、翻訳を発注する前に、誤解が起きやすい重要箇所を先に確定する相談サポートを用意しています。

この記事では、社内に回せる納品物のイメージとして判断サマリー、重要箇所リスト、曖昧表現の置き換え、用語統一、質問票、決定ログを簡易サンプルとして紹介します。

■この相談サポートで確定するもの
確定とは、重要箇所の意味を、だれが見ても同じに解釈できる形に固定することです。
文章だけでなく、判断根拠と承認者をセットで残します。

確定の対象例
・警告 注意 禁止
・条件分岐 例外
・数値 単位 閾値
・手順の順番
・UI表記 ボタン名 ステータス名
・部品名 治具名 センサー名
・用語の統一と定義

■納品物 1 判断サマリー 1枚
判断サマリーは、上長説明やレビュー会議にそのまま回せる要点整理です。
記載する内容例
対象:どの章を見たか 何ページ相当か
目的:何の誤解リスクを潰すか
決定事項:先に確定できたこと
未決事項:承認が必要な論点
次アクション:誰が何を決めるか

■納品物 2 重要箇所リスト
重要箇所リストは、誤解すると影響が大きい箇所を先に抜き出し、論点と改善方針を添えた一覧です。
例として、よくある論点は、
・例外の有無が不明
・どの状態の話か不明
・高い 低い すぐ など程度表現が不明
・どこまでやれば完了か不明
・用語がページごとに揺れている

納品物 3 曖昧表現 置き換え例 日本語版
曖昧さは、条件 主語 動詞 数値 閾値 例外 理由 を追加して減らします。
ここでは日本語だけでも使える形として、日本語の改善案を提示します。

例1
・曖昧表現 日本語原文例:しっかり固定してください
・日本語改善案:すき間がないことを目視で確認し、ねじを締め付けてください
・固定したこと:完了条件を追加 すき間ゼロ

例2
・曖昧表現 日本語原文例:バルブをゆっくり開けてください
・日本語改善案:5秒ごとに4分の1回転ずつ開けてください
・固定したこと:速度を 操作量と時間 で固定

例3
・曖昧表現 日本語原文例:できるだけ早く停止してください
・日本語改善案:アラーム表示後10秒以内に停止してください
・固定したこと:時間条件を追加

例4
・曖昧表現 日本語原文例:必要に応じて交換してください
・日本語改善案:差圧が5kPaを超えた場合はフィルタを交換してください
・固定したこと:判断基準を数値化

例5
・曖昧表現 日本語原文例:正しく取り付けられていることを確認してください
・日本語改善案:コネクタが奥まで挿入され、ラッチが掛かったことを確認してください
・固定したこと:正しく を 観察条件へ分解

■納品物 4 用語統一 決め方と根拠
用語統一は好みではなく、根拠の優先順位で決めます。
決め方をフローにしておくと、社内説明が通りやすくなります。

根拠の優先順位 例
1 UI画面 表示名 ボタン名 ステータス名
2 部品表 図面 仕様書の正式名称
3 過去機種マニュアルの踏襲 ただし安全に関わる場合は再評価
4 業界で一般的な呼称

用語カードに入れる項目例
・採用形
・禁止表記
・定義
・使用例
・根拠

■納品物 5 質問票
重要箇所の意味を固定するため、短い質問で承認者の判断を引き出します。
質問票を用意しておくと、決めるべきことが明確になり、回答が早くなります。

質問例
・例外条件はありますか なし 保守モードのみ その他
・高温の閾値は何度ですか
・締結はトルク管理が必要ですか
・日本語表記は併記しますか

■納品物 6 決定ログ
決定ログは、決定事項 根拠 承認者 日付 を残し、翻訳会社への指示に転用できる形にします。
途中で用語や条件を変えると、誤解と手戻りの原因になるため、変更はログで管理します。

■まとめ
翻訳発注前に重要箇所の確定、曖昧表現の改善、用語統一
を先に行うことで、差し戻しを減らし、安全と品質の解釈違いリスクを下げられます。

納品物イメージサンプル_マニュアル編

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