「差分原稿が作成できる技術」欧州/アジア言語 技術文書翻訳サービス会社のコラム
2026年5月26日(火)8:30
前回は、DTPオペレーターの仕事について書きました。
DTPオペレーターの仕事というと、レイアウトを整える作業をイメージされる方が多いかもしれません。
しかし、技術文書やマニュアルの翻訳現場では、レイアウト調整以外にも重要な作業があります。
その一つが、マニュアルの改訂やバージョンアップに伴う、差分原稿の作成です。
差分とは、マニュアルや取扱説明書などが旧版から新版へ改訂された際に、追加・変更された章、節、本文、数値、用語などを指します。
翻訳会社では、このような案件を差分翻訳と呼ぶこともあります。
では、具体的にどのような作業なのでしょうか。
例えば、英語マニュアルのVer1がVer2へバージョンアップされたとします。
対象は、英語から日本語への翻訳です。
外国製品がバージョンアップされ、それに伴って付属マニュアルの内容も更新された、という状況です。
この場合、翻訳会社やDTP担当者には、主に以下のような資料が支給されます。
① 新版英語マニュアル Ver2
② 旧版英語マニュアル Ver1
③ 旧版日本語マニュアル Ver1
まず、①新版英語マニュアルと②旧版英語マニュアルを比較します。
そして、新たに追加された文章、変更された文章、数値、用語などを確認します。
新規に翻訳が必要な英語テキストは赤色にします。
一方で、旧版からそのまま流用できる箇所については、③旧版日本語マニュアルから対応する日本語テキストをコピーして、黒色テキストのまま配置します。
このように処理することで、翻訳者は、赤色の英語テキストだけを翻訳すればよいことが一目で分かります。
つまり、差分原稿とは、どこを新しく翻訳すればよいのかを明確にするための原稿です。
非常に地味で、手間のかかる作業です。
しかし、技術文書やマニュアル翻訳の現場では、一定の需要があります。
では、なぜこのような作業を行うのでしょうか。
大きな理由は、翻訳費用を抑えるためです。
翻訳料金は、多くの場合、単語数や文字数をもとに計算されます。
そのため、旧版から新版への変更内容が全体の1割から2割程度であれば、マニュアル全体を新規翻訳するよりも、差分箇所だけを翻訳したほうが費用を抑えられます。
もちろん、差分を自動で検出するソフトウェアもあります。
ただし、自動比較ツールは機械的に差分を抽出するため、実際には翻訳不要な箇所まで多く拾ってしまうことがあります。
例えば、改行位置、ページ番号、スペース、記号、レイアウト上の違いなども差分として検出される場合があります。
その結果、本当に翻訳が必要な箇所を見極める作業が別途必要になります。
そのため、改訂内容が比較的少ない場合には、人の目で確認しながら差分原稿を作成したほうが、結果的に効率的で、費用も抑えられることがあります。
差分原稿の作成には、単なるコピー&ペーストではなく、旧版と新版の内容を正確に比較し、翻訳が必要な箇所と流用できる箇所を見極める力が求められます。
技術文書の改訂翻訳では、このような前処理の精度が、翻訳品質やコスト管理に大きく関わってきます。
エクセレットでは、欧州言語・アジア言語の技術文書翻訳において、こうした差分翻訳や改訂マニュアル対応のご相談も承っております。
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